一般社団法人 通信研究会
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第54期(自 平成31年4月1日~至 令和2年3月31日)の決算にあたり、当社団の事業概況についてご報告申し上げます。
令和元年度は昨年に引き続き自然災害が相次ぐ年でした。8月の九州豪雨、9月に発生した台風15号は千葉県で8割の市町村で通信障害、1ヶ月以上数百戸が停電を起こし、10月の台風19号では集中豪雨により信濃川では観測史上最高水位を記録し、千曲川の一部地域で破堤した。台風により多くの家屋が被災し、甚大な被害を受けた。近年、自然災害が多数発生し、地域での防災、減災対策への取り組みが益々重要になってきています。
政府が推進している地方創生事業は、2期目に入り、人口減少問題について国民意識の共有化を図り、人口減少の歯止めと地域経済縮小の克服をめざし、東京一極集中の是正を行い、地方の復興を図り、若い世代の人達が安心して就労、結婚、子育てができる地域社会を実現することを引き続き目標として、そのために、各自治体は「まち・ひと・しごと創生」として「人口ビジョンと総合戦略」を策定し、大都市圏から地方への人の流れ、関係人口の拡大、観光・交流人口の拡大、移住定住人口の促進、雇用の確保等地方創生に取り組んでいます。人口減少による過疎地域の拡大、自治体の支所機能の統廃合によるサービス低下、安全、安心、交流の拠点として地域コミュニティーの中で期待される郵便局の役割は大きいものがあります。
現在、ユニバーサルサービスの提供については、あくまでも日本郵政株式会社、日本郵便株式会社の責務として法定され、郵便局窓口において金融のユニバーサルサービスを提供することになりました。ユニバーサルサービスは、国民生活に必要不可欠な基礎的サービスを過疎地も含めすべての地域で誰もが利用可能な価格で安定的に提供できることとされ、これらの特徴を併せ持つサービスがユニバーサルサービスであるとされています。しかし、ユニバーサルサービスを提供し続けるのにはコストが係り、そのコストを誰がどのような形で負担をしていくのかという大きな問題があります。
ユニバーサルサービスを維持するということは一定の範囲で赤字サービスを提供し続けるということになるのです。
平成31年4月1日から適用された独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険 管理機構法の一部を改正する法律では、郵政事業のユニバーサルサービスの提供を安定的に確保するため郵便局ネットワークの維持を支援するための交付金及び拠出金の制度を新たに創設しました。また機構の名称を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」と改めました。
ユニバーサルサービスのコスト負担の問題は、将来的には国民全体として捉えていく必要があります。ユニバーサルサービスが課され、日本全国にきめ細かなネットワークを持って、公共サービスを行っているのは郵便局だけです。
郵便局ネットワークをプラットフォーム化して通信、物流、金融の拠点としての価値を高め、さらに社会資本として行政と生活の代行機能を併せ持つことができれば、日本郵政グループの企業価値も向上するものと思われます。
郵政民営化法は日本郵政グループ各社とのシナジー効果を最大限活かし、効率的なグループ運営を発揮することを目指したものと受け取られています。
今後、株主の増加により株主利益の最大化と効率化・合理化、改正法の趣旨である地域性及び公共性をどのように維持していくことができるのか、ますますバランスのとれた経営が求められてきます。
会員のニーズに応えるべく、機関誌『逓信 耀』の誌面をより一層充実させるため、毎月企画編集会議を開催し、焦点を明確にして全国各地に取材を行いました。
編集方針については、国内外の政治・経済問題の専門家を中心に執筆いただき、さらに、日本郵政グループ各社の経営戦略を紹介し、郵政民営化法等改正法によって郵便局ネットワークの維持・活用、公益性及び地域性が求められる郵政事業と、国会議員、有識者の先生方等によりさまざまな角度での検証を行い、その問題点と課題を浮き彫りにしました。また、シリーズ「地方創生のいま、地域を元気に!」では有識者の方々に取材を通して地方創生の意義、地域における郵便局の役割等を紹介することが出来ました。さらに「地方創生における地方自治と郵政事業」では、市町村長から郵政事業と地方自治体との関係、郵便局が地域社会に果たしてきた役割、連携施策等について意見を伺うことが出来ました。全国の郵便局長にご協力いただき、インタビューや各種座談会等を通じて、地域社会に貢献する郵便局の実像や今後の展望等について掲載することができました。
公益目的事業として行った「日本郵政の経営分析と企業価値評価(2020年)」(京都大学経済学部藤井秀樹ゼミナール 日本郵政企業分析チーム)、「郵便事業の現状とデジタル時代の郵便サービスに関する研究」(作新学院大学経営学部樋口徹教授 郵政事業戦略研究プロジェックトチーム)等の報告会を開催することができ、いずれも時宜を得た大変有意義な報告会で、資料を関係機関に配布致しました。また全国各地に講師派遣等を行い会員のニーズに応えることができました。
《理事会開催》
○ 第1回
平成31年 4月24日(水)ホテル・ルポール麹町
・平成30年度事業報告(案)及び収支決算(案)について
・公益目的支出計画報告について
・平成31年度総会日程について
・その他
○ 第2回
令和元年 5月23日(木)ホテル・ルポール麹町
・当面の諸課題について
・その他
○ 第3回
令和元年 8月27日(火)ホテル・ルポール麹町
・第1四半期事業報告及び収支決算報告について
・その他
○ 第4回
令和元年11月20日(水)ホテル・ルポール麹町
・第2四半期事業報告及び収支決算報告について
・その他
○ 第5回
令和2年 3月13日(金)ホテル・ルポール麹町
・第3四半期事業報告及び収支決算報告について
・令和2年度事業計画(案)及び収支予算(案)について
・その他
《総会開催》
○令和元年 5月23日(木)ホテル・ルポール麹町
・平成30年度事業報告(案)及び収支決算(案)、会計監査報告
・公益目的支出計画報告等について
・役員改選について
・その他
○令和2年 3月13日(金)ホテル・ルポール麹町
・令和2年度事業計画(案)及び収支予算(案)について
・その他
《調査・研究会》
・日本郵政グループの現状と中期経営計画2020の中間検証
京都大学大学院経済学研究科 藤井秀樹教授(日本郵政企業分析チーム)
・郵便事業の現状とデジタル時代の郵便サービスに関する研究
作新学院大学経営学部 武井孝介教授・樋口 徹教授
《報告会開催》
○ 平成31年 3月 5日(金)ホテル・ルポール麹町
・日本郵政の経営分析と企業価値創造〔2019年〕
価値創造にむけた新規事業のゆくえ
【郵政事業企業分析チーム】
京都大学大学院経済学研究科 藤井秀樹 教授他学生4名
立命館大学大学院 奥村陽一 教授
金沢学院大学 渡邉誠士准教授
○ 令和2年 2月25日(火)ホテル・ルポール麹町
・郵便事業の現状とデジタル時代の郵便サービスに関する研究
【郵政事業戦略研究プロジェクトチーム】
作新学院大学 経営学部 武井孝介 教授
同 樋口 徹 教授
同 荒木 宏 教授
東京成徳大学 経営学部 武井孝介 教授
《資料集作成》
・日本郵政グループの現状と中期経営計画2020の中間検証
・郵便事業の現状とデジタル時代の郵便サービスに関する研究〔2020年〕
≪寄付・寄贈≫ 公益財団法人 通信文化協会
令和元年度事業報告には「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則」第34条第3項に規定する附属明細書「事業報告の内容を補足する重要な事項」は存在しないので、これを作成しない。