一般社団法人 通信研究会
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第45期(自 平成22年4月1日~至 平成23年3月31日)の決算にあたり、当社団の事業概況についてご報告申し上げます。
3月11日に発生した東日本大震災で犠牲になられた多数の方々に対し、深く哀悼の意を捧げますと伴に、被災された方々に対しまして心からお見舞い申し上げます。また一刻も早い復興を祈念致します。
小泉政権で進められた郵政民営化を抜本的に見直す「郵政改革法案」が4月30日に閣議決定され、国会に提出されました。日本郵政グループに郵便・貯金・保険のユニバーサルサービスを義務付け、現在の5社体制を3社体制に再編。持株会社と郵便事業会社、郵便局会社を合併した新たな日本郵政の傘下にゆうちょ銀行とかんぽ生命保険を置き、政府から日本郵政、日本郵政から金融2社への出資比率は常時それぞれ3分の1超を維持することが義務付けられ、株式の売却期限は設けられていません。法案成立時に政令で、ゆうちょ銀行の預入限度額を1000万円から2000万円に、かんぽ生命の加入限度額を1300万円から2500万円に引き上げます。金融2社の新規業務への参入は、現在の認可制から届出制にし、有識者らで構成する「郵政改革推進委員会」が内閣総理大臣及び総務大臣から諮問を受けて事業内容をチェックすることになりました。
郵政改革法案の基本理念は「国民の権利として郵政事業に係る基本的な役務を利用者本位の簡便な方法で郵便局で一体的に利用できるようにする。将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることを確保し、並びに国民共有の財産として築き上げられた郵便局ネットワークの活用、その他の郵政事業の公益性と地域性が十分に発揮されるための措置を講じる」と地域経済の連携に配慮しつつ、豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを基本と致しました。5月18日に郵政改革法案、関連2法案は衆議院本会議にて亀井郵政改革担当大臣から趣旨説明が行われ、5月28日午前の衆議院総務委員会で審議入りし、同日夕方開催された同総務委員会で与党の賛成多数で可決されました。
5月30日社民党が普天間問題の対応をめぐり連立離脱を決定。5月31日には衆議院本会議で郵政改革法案を与党と社民党などの賛成多数で可決、参院に送付されました。6月2日鳩山首相が民主党両院議員総会で退陣を表明。6月4日には菅氏が民主党代表選で新代表に選ばれ、同日開かれた衆参両院の本会議で第94代首相に指名され、同日菅首相は国民新党の亀井代表と会談し、郵政改革法案について速やかに成立を期す合意文書を交わし、連立政権の継続を確認。民主党と国民新党連立による菅内閣が6月8日発足しました。しかし、政府・民主党は新政権発足後の支持率の高さを背景に、国会会期を延長せず参院選の日程等を優先し、郵政改革法案の通常国会成立見送りを決めると、亀井郵政改革担当大臣は国民新党、民主党の連立は維持しつつ「両党間の約束を破られ、履行させることができなかったので責任をとる」と閣僚を辞任しました。
通常国会は6月16日閉会、小泉政権下の民営化路線を見直す郵政改革法案は参院で審議未了、廃案となりました。民主党と国民新党は6月11日、郵政改革法案を参院選後の臨時国会で最優先課題として速やかに成立させることなど5項目からなる確認書を交わし、また民主党は参議院選挙のマニフェストにも郵政改革法案を次期国会で速やかな成立を図ると明記致しました。7月に行われた参院選の結果、与党は過半数を獲得できず、衆参でねじれ国会になり与党は国会運営がますます厳しい状況になりました。秋の臨時国会で郵政改革法案は一度も審議されず継続審議となり、第177回通常国会に提出されました。
民主党、国民新党、社民党の有志議員でつくる超党派の勉強会「郵政等三党合意を考える会」は本年2月9日初会合を開き、郵政改革法案の成立は一刻を争うとして郵政改革法案の意義を確認し、今国会での法案成立を推進していくこととされた。また、民主党の当選一回の衆議院議員139人は3月7日、郵政改革法案の早期成立を求める署名を党執行部に提出しました。
平成19年10月1日に郵政事業が民営分社化され3年と6か月が過ぎましたが、民営分社化の影響により、日本郵政グループの収益構造が依然として厳しい状況におかれていることもあり、早期に郵政民営化法を見直し、郵政改革法案の成立を期して経営の建て直しが求められています。
このような郵政事業を取り巻く状況の中、会員のニーズに応えるべく、機関誌『逓信 耀』の誌面をより一層充実させるため、毎月企画編集会議を開催し、焦点を明確にして全国各地に取材を行いました。
編集方針については、総務省の施策を中心に日本郵政グループ各社の経営戦略を紹介。さらに郵政改革法案成立に向けた様々な動向、郵政改革関係政策会議等、公益性と企業性が求められる郵政事業について、国会、有識者の先生方等によりさまざまな角度での検証を行い、その問題点と課題を浮き彫りにしてきました。また、郵便局長の皆様方にご協力いただき、インタビューや各種座談会等を通して、地域社会に貢献する郵便局の実像や今後の展望等について掲載することができ、また今期は逓信「耀」増刊号を発行することができました。
郵政事業フォーラムは、第30回目を開催し時宜にあった講演テーマにより好評を得ることができました。
新郵政事業ビジネスモデル調査研究委員会は5回開催、郵政民営化の現状と課題、郵政改革法案、さらに日本郵政グループの経営状況について、各委員より貴重な建設的な意見を伺い、資料集を作成しその成果を開陳していきます。
今期は、郵政改革法案検証委員会を発足し5回開催し、郵政改革法案に対してさまざまな角度から活発な議論を行ない検証することができました。
郵政民営化見直しの動向ならびに郵政改革に関するヒアリング、郵政改革関係政策会議での議論及び資料等をまとめた郵政改革関係資料集(Ⅰ)を作成しました。さらに、郵政公社設立の経緯から郵政民営化論議の検証を行った郵政改革関係資料集(Ⅱ)を作成しました。
全国各地で郵政民営化の問題、郵政改革の必要性について講師派遣等行い会員のニーズに応えることができました。
委員長 | 石井晴夫 | 東洋大学経営学部教授 |
委員 | 内山 隆 | 青山学院大学総合文化政策学部教授 |
石田直美 | (株)日本総合研究所創発戦略研究センター主任研究委員 | |
武井孝介 | 学習院大学経済学部非常勤講師 | |
岩波美智子 | 英国バーミンガム大学大学院博士課程終了 | |
山根 学 | 学習院大学経営学研究科博士前期過程 | |
第5回 | 4月22日 | 逓信「耀」取材用座談会(6月号、7月号、8月号掲載) |
亀井久興 | 会長 | |
委員長 | 石井晴夫 | 東洋大学経営学部教授 |
委員 | 塩見英治 | 中央大学経済学部教授 |
藤井秀樹 | 京都大学大学院経済学研究科教授 | |
岩波美智子 | (株)双日総合研究所 | |
荻野崇浩 | 東洋大学大学院経営学研究科博士前期過程 | |
第1回 | 9月17日 | 郵政三事業の現状報告及び民営化後のサービス低下 |
第2回 | 11月1日 | 郵政改革法案における課題とユニバーサルサービスの確保策について |
第3回 | 12月24日 | 国際会計基準とは何か ―特徴と問題点― |
第4回 | 1月27日 | これからの八王子市の地域サービスのあり方について 今後の空港運営のあり方について |
第5回 | 3月11日 | 日本郵政グループの財務会計制度と財務諸表 イギリス郵政最新情報について |
会長 | 亀井久興 | |
座長 | 福島 徳 | 産経新聞経済本部記者 |
委員 | 東谷 暁 | ジャーナリスト |
髙橋正安 | 元全国郵便局長会会長・元芳川郵便局長 | |
星野興爾 | ポスタルレポーター | |
藤沢久美 | ソフィア・バンク副代表 | |
第1回 | 6月8日 | 郵政改革法案の動向と郵政民営化について |
第2回 | 7月29日 | 郵政改革法案と欧州の郵便事情について |
第3回 | 9月21日 | 郵政民営化の問題点と郵政改革法案について |
第4回 | 11月22日 | 郵政改革法案の概要とニュージランドの郵政事情 |
第5回 | 12月7日 | 郵政改革法案の課題と問題点について |
郵政改革関係資料集を作成し、関係機関に配布
(I)郵政民営化見直しの動向
(II)郵政公社設立の経緯から郵政民営化論議の変遷(2001~2006)
1月号 | 新しい年を迎え郵政改革法案の成立で明るい展望を 前総務大臣 衆議院総務委員長 原口一博先生 国民新党顧問(社)通信研究会会長 亀井久興先生 |
4月号 | 第13回 衆議院議員 福田あきお先生に聞く 郵政改革で郵便局ネットワークを地域活性化の拠点に 揺るぎない郵政民営化の抜本見直しへの道 |
5月号 | 第14回 衆議院議員 安住淳先生に聞く 郵便局ネットワークを守る使命感、パブリックの精神を大事に |
8月号 | 第15回 衆議院議員 近藤昭一先生に聞く 競争とユニバーサルサービスとのバランス感覚、郵政改革法案の一刻も早い成立を |
9月号 | 第16回 経済産業副大臣 衆議院議員 松下忠洋先生に聞く わが国経済・産業の動向と郵政改革法案の意義 |
10月号 | 第17回 参議院議員 又市征治先生に聞く 三事業のユニバーサルサービス維持、郵政改革法案を原案のまま成立 |
11月号 | 第18回 衆議院議員 松野頼久先生に聞く 三事業一体で官と民の良さを発揮できる株式会社へ |
12月号 | 第19回 前内閣府副大臣 参議院議員大塚耕平先生に聞く 郵政改革法案について |
2月号 | 第20回 衆議院議員奥野総一郎先生に聞く 郵政改革法案の成立で三事業一体を法律上担保 経営の自由度を追求 |
3月号 | 第21回 衆議院議員 黄川田徹先生に聞く 顔の見える、地域密着型の郵便局への再生/td> |
4月号 | 国民新党 政務調査会長 参議院議員 森田 高先生 地方再生・格差是正の切り札 日本郵政グループの経営の安定性確保 |
5月号 | 長谷川憲正総務大臣政務官 郵政改革法案を語るー郵政民営化法を廃止し、郵政改革法案の早期成立をめざす |
6月号 | 亀井久興総 務大臣顧問(上) 「郵政改革法案」を聞くー郵便局の信頼回復が新郵政の出発点・郵貯資金投資は国家プロジェクトに |
7月号 | 亀井久興 総務大臣顧問(下) 「郵政改革法案」を聞くー郵便局の信頼回復が新郵政の出発点・郵貯資金投資は国家プロジェクトに |
9月号 | 亀井久興 総務大臣顧問に「日本郵政ガバナンス」を聞く 今必要な日本郵政の不動産戦略 |
政治評論家 森田 実
8月号 | 参議院選挙後の政治情勢と郵政改革法案の動向について(上) |
9月号 | 同 (中) |
10月号 | 同 (下) |
11月号 | 臨時国会の動向―郵政改革法案の行方(上) |
12月号 | 同 (中) |
1月号 | 同 (下) |
3月号 | 改造内閣における課題と第177国会の重要テーマ |
12月号 | 第1回 郵便局は地域社会の生活拠点、改めて公益性、公共性の自覚を 亀井久興先生 |
2月号 | 第2回 地域への奉仕の精神で「信頼のブランド力を向上 東洋大学経営学部教授 経済学博士 石井晴夫先生 |
3月号 | 第3回 郵便局は有人窓口の特性を生かして、信頼と安心感により、地域社会の活性化に寄与して欲しい 学習院大学経済学部講師 経営学博士 武井孝介先生 |
6月号(上) 7月号(中) 8月号(下) |
東洋大学経営学部教授 石井晴夫先生・ 青山学院大学総合文化政策学部教授 内山隆先生・ (株)日本総合研究所創発戦略センター主任研究員 石田直美先生・ 学習院大学経済学部非常勤講師 武井孝介先生 |
5月号(上) 6月号(中) 7月号(下) |
東京逓信病院放射線科部長 是永建夫先生・栄総合法律事務所所長 柴崎栄一先生
・ 東洋大学経営学部教授 石井晴夫先生 |
2月号 | 亀井久興先生・産経新聞経済本部記者 福島徳様・ジャーナリスト 東谷暁様・ ソフィアバンク副代表 藤沢久美様・元全特会長 髙橋正安様・ポスタルレポーター 星野興爾様 |
産経新聞経済部記者 福島 徳
郵政事業を巡る総務省、日本郵政株式会社、国会等の動向を分析し、タイムリーに紹介
4月号 | 郵政改革法で三事業一体とネットワークの維持を |
5月号 | 参院選の重要性を印象づけた郵政改革法案 |
6月号 | 実情を踏まえた審議が求められる郵政改革法案 |
7月号 | 不透明感を増す郵政改革法案の行方 |
8月号 | 参院選の結果と郵政改革法案の行方 |
9月号 | 秋の臨時国会で郵政改革法案の成立を |
10月号 | 郵政改革法案の成立について |
11月号 | 菅政権は臨時国会での法案成立に向け、あらゆる努力を |
12月号 | 求められる公約の着実な実現と戦略の構築 |
1月号 | 民主党は党内抗争よりも民意に沿った政治を |
2月号 | 菅第二次改造内閣と郵政改革法案の行方 |
3月号 | 菅政権は民意に沿った政策の遂行を |
作家 童門冬二
10月号 | 批判はありがたい教科書だ 堀 秀政 |
11月号 | 変革期にはまずトップが自己改革を 黒田如水 |
12月号 | 争う住民を地名変更で収拾 蒲生氏郷 |
1月号 | おまえは誰の部下なのだ? 徳川家康 |
2月号 | 私の宝は部下です 徳川家康 |
3月号 | 仕事は組織で行うものだ 木下藤吉郎 |
東京国際大学学長 田尻嗣夫
4月号 | 日本の資金循環を再設計する郵政改革を |
5月号 | 「パラダイス鎖国」型郵政改革から欠落した経済的安全保障 |
6月号 | 「官が太れば民が細る」と言い張るデマゴーグ |
7月号 | がっぽり儲けて社会に還元する郵政改革を |
8月号 | 国家資本主義の時代の信用を支える郵貯、かんぽ資金 |
9月号 | 地域活性化へ本気?民から国へ資金を流し続ける日本郵政 |
10月号 | 「簡便性」優先の商品・サービスに回帰せよ |
11月号 | 社会に対する感受性の競争時代に人の心を掴めぬままでは |
12月号 | 政治の不作為が脅かすユニバーサルサービス |
1月号 | 円と国債を支える郵貯、簡保と恐怖の均衡心理 |
2月号 | 「官か民」の政争脱し「官民」「公私」の融合を |
3月号 | 国民の共感を呼ぶ地道な地域貢献を |
佐々木 勉
4月号 | 郵便局を守る2つの仕組み |
5月号 | 民業圧迫というスローガン |
3月号 | 欧州完全自由化についての視点 |
ポスタルレポーター 星野興爾
4月号 | ユニバーサルサービス(1)国有企業と民営企業で二極化 |
5月号 | ユニバーサルサービス(2)民営(郵便)がUS0を否定 |
6月号 | ユニバーサルサービス(3)最低賃金制とVAT免除撤廃巡って |
7月号 | ユニバーサルサービス(4)ポストバンクと直営局を売却 |
8月号 | ユニバーサルサービス(5)民営(郵便)の矛盾を露呈 |
9月号 | 英国が郵政改革に再挑戦 |
10月号 | 民営化を再検証する(1) |
11月号 | 民営化を再検証する(2) |
12月号 | 民営化を再検証する(3) |
1月号 | 民営化を再検証する(4) |
2月号 | USPS・第二の挑戦(1) |
3月号 | USPS・第二の挑戦(2) |
ジャーナリスト 東谷 暁
4月号 | -「改革」よりもまず「見直し」を |
5月号 | -会計検査院の「報告書」が意味するもの |
6月号 | -新党ブームが炙り出す小泉政治への郷愁 |
7月号 | -郵便問題を正確に把握できないマスコミ |
8月号 | -ゆうパック遅配報道にみる倒錯 |
9月号 | -小さな政府を唱えた竹中平蔵氏の背任 |
10月号 | -なぜ日本振興銀行は破綻したのか |
11月号 | -過大な荷物を課すべきではない |
12月号 | -「ゆうパック」の赤字は民営化の失敗 |
1月号 | -遅すぎた「かんぽの宿」不適正鑑定報道 |
2月号 | -TPP問題は郵政民営化と地続きだ |
3月号 | -明らかになりつつあるTPPの正体 |
日本防災士会常任幹事 橋本 茂
3月号 | 身近な防災に関して最も注意をしなければならないこと |
9月号 | 長野県 南信南地区会-切石郵便局長・飯田郵便局長・売木郵便局長 |
10月号 | 東京地方郵便局長会―啓発・育成委員会 部会活性化へ合同部会 江戸川平井五郵便局長・小平天神郵便局長・墨田白髪郵便局長 |
11月号 | 石川県 北加賀地区会―金沢扇町郵便局長・鶴来郵便局長・金沢三十苅郵便局長・金沢中橋郵便局長・金沢東大通郵便局長・別宮郵便局長・美川湊町郵便局長・金沢新竪町郵便局長・金沢宝船路郵便局長・外日角郵便局長 |
11月号 | 広島県 備南地区会―中条郵便局長・福山三吉郵便局長・水呑郵便局長・芦田郵便局長 |
12月号 | 愛媛県 南予地区会―広見郵便局長・下大野郵便局長・清水郵便局長・松野郵便局長・吉野郵便局長 |
1月号 | 近畿地方郵便局長会―基本問題専門委員会 三田福島郵便局長・五條田園郵便局長・加西和泉郵便局長・城東蒲生郵便局長 |
地域に貢献する郵便局ネットワークの活用として、全国でさまざまに活躍されている郵便局を紹介し、郵政事業をPRすることができた。
4月号 | 奈良県 五條田園郵便局長 |
5月号 | 兵庫県 相生港郵便局長 |
6月号 | 山形県 北平田郵便局長 |
7月号 | 徳島県 三加茂郵便局長 |
10月号 | 福岡県 小倉室町郵便局長 |
12月号 | 北海道 小樽緑町郵便局長 |
2月号 | 岐阜県 谷汲郵便局長 |
以上、総務省の補完的役割をすべく多方面に活動してきました。