通信研究会

通信研究会のご案内

事業計画

平成21年度事業計画

 今期は、前期に引き続き郵政事業および電気通信、放送の分野におけるさまざまな施策、情報等について会員を通して広く国民に啓蒙していきたい。

 現在、情報通信技術(ICT)の可能性は、社会・経済や生活、文化にますます大きな影響を与え、国民生活の中で広がりを見せている。政府は、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」安心、安全に利用して快適に暮らせるユビキタスネット社会の実現を目指して推進している。また、2011年地上デジタル放送への完全移行に向けた総合対策(国民への説明・周知・相談、受信機購入の支援等)やデジタル・ディバイド解消戦略の推進も行われている。このような情報通信技術の進歩は、日本経済の発展を支える原動力の一つになるが、その一方で少子高齢化や環境問題、過疎化等さまざまな課題も明らかになってきている。そうした中で地方分権の推進が謳われている。

 日本郵政は民営化して1年が経過した。当初心配されていた通り、各種のサービスダウンに見られるような効率化が進み、お客さま離れも指摘されるようになった。郵便サービスの低下では、「郵便集配及び郵貯、簡保の外務営業拠点の再編計画」により、配達エリアの「広域化」に伴い、大幅な遅配や誤配が見られるようになった。また従来は4、696の集配郵便局に土曜日、日曜日や夜間でも利用可能な「時間外窓口」(ゆうゆう窓口)が設けられていたが、再編計画の実施以降は1、088の「統括センター」以外の局では「時間外窓口」が廃止された。ゆうパックの集荷や郵貯・簡保の集金の際、以前は利用者が希望する日時に外務職員が、その利用者の自宅へ直接出向いてきてくれたが、集約化後は担当エリアの広域化で外務職員も多忙なため、ほとんど利用者の希望どおりの日時には来てもらえなかった等のマイナス影響が数多く現出している。郵貯サービスの低下では、郵便局で取り扱われる送金、決済サービスの手数料は、民営化スタートと同時に、そのほとんどが軒並み「値上げ」されることになった。病院や学校、市役所などの公共施設、あるいは大規模商業施設などに設置されている局外ATМ(現金自動預払機)は、年間の利用件数がある一定の件数に満たない採算性の低いものは、地域の事情をほとんど考慮することなく、次々と撤去を進めるなど、全国的にATМの「統廃合と再配置」が積極的に進められている。さらにかんぽの宿譲渡の問題では、入札経緯に不透明さがあらわれるなど、民営化の目的が一体何のための誰のための民営化なのか改めて問われている状況である。

 今後、郵便局が全国津々浦々で地域に密着し、国民共有の生活インフラとしての役割を担うことが引き続きできるのか、三事業のユニバーサルサービスの堅持、ネットワークの維持ができるのか、さらに働く職員の方々が生き生きと働ける環境にあるのか等、当時の政府が民営化によってサービスが良くなるとした約束に対して、あらためて問題点、課題点等について検証する必要が出てきている。  通信研究会としては、民営化された各事業会社が、地域社会に対して国民の期待に応えられ、さらに新しいビジネスモデルを早急に構築できるよう協力提案していきたい。少子高齢化、過疎化が進むなか、都市部と地方部との格差是正を図るためにも、今後地域社会における郵便局の役割はますます増大していく。

 前期に引き続き郵便局ネットワーク及び地域社会の活性化を図るべく、郵政事業の新たな役割を調査、研究してその成果を会員及び関係機関に開陳していきたい。

《今期の事業計画》

Ⅰ 機関誌 逓信「耀」の発行と編集方針について

○ 総務省の施策を中心として郵政事業・電気通信・放送分野等の今後の課題を探る
○ 日本郵政株式会社(各事業会社)の経営戦略を紹介
○ 郵便局における新しいビジネスモデルの提案を掲載
○ 郵政事業のPRと郵便局長の取材を通して地域密着型の郵便局の在り方、地域貢献施策の在り方や営業戦略を紹介
○ シリーズ「政策を問う!」では、民営化の現状と課題、問題点等について与野党の先生方による取材を通してわかりやすく掲載
○ 有識者の先生方から郵政事業全般、郵便局の役割、公共性と企業性、民営化法の問題点等について検証をしてもらい掲載
○ 各国の郵政改革の現状と展望について
○ 身近な防災講座―震災等に関するタイムリーな情報を提供
○ 霞が関からのレポート
○ いま必要な歴史認識と民営化の問題
○ その他

Ⅱ 郵政事業フォーラム21の開催

 会員皆様方の多様な要望に応えるべく、郵政事業のみならず、電気通信、放送分野等についても当面の諸問題を勉強する。

Ⅲ 調査・研究会の開催について

・新郵政事業ビジネス・モデル調査研究委員会の開催
 短期・中期的視点において、諸外国の郵政改革も参考にしながら、郵政事業の在り方を検証する。

・郵便局の在り方に関する調査研究委員会について
 民営分社化された郵政事業の中で、特に郵便局が全国各地にネットワークを維持できるのか、従来通りのサービスが提供できるのか、さらに民営化された郵便局に何が求められているのか検証していきたい。

Ⅳ メール情報サービスの充実

 会員向けにメールにて情報サービスを提供できるようソフト面の充実を図る。さらに利用者の増大を図る。

V 相談窓口について
 各種セミナー・講演会等の講師派遣、会員等のさまざまな要望、照会に対応するための「相談窓口」の対応の充実。

VI その他

・国会情報等の各種資料集の作成

 このように各種事業を通じて当社団の役割は、今後ますます増大し、そのためには正会員、賛助会員の拡大、増強を図り、活発な事業活動を展開していきたい。
 このような活動から発生する会費収入をはじめとする諸収入を源泉として、さらに有意義な研究活動を続けていき、社会に対する貢献度の高い社団に致す所存でございます。
 皆様方のさらなるご協力を宜しくお願い申し上げます。