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事業報告

平成20年度事業報告

 第43期(自 平成20年4月1日~至 平成21年3月31日)の決算にあたり、当社団の事業概況についてご報告申し上げます。

 平成19年10月1日に郵政事業が民営分社化されて、1年と6ヶ月が経過した。郵政民営化の最終最大の目的は、国民利便とサービスの向上である。しかし、現実には郵政民営化後サービスの低下はいたるところに出ている。貯金・保険の手続きが複雑になり、窓口での待ち時間が長くなった、送金・決済サービスの手数料が引き上げられた等、さらに集配局再編による遅配、誤配も起こっている。また、民営分社化後には郵便局における利用者への一元的な対応サービスが損なわれたとの批判も多く寄せられている。

 こうした中、郵政民営化見直しについて検証するさまざま動きが出てきた。まず、政府における郵政民営化の進捗状況についての総合的な見直しに関する郵政民営化委員会は、平成21年3月13日に意見書を郵政民営化推進本部長(内閣総理大臣)に提出した。今後国会に報告されその審議の結果も踏まえ、政府において対応を検討することが求められている。意見書の概要は、経営形態の見直しには踏み込まず、民営化会社の経営状況、郵便局の設置状況、金融・保険サービスの提供状況等、民営化後の実情の把握に努め、その進捗状況を客観的に確認してあくまでも現行法の枠内で検証したものを委員会の意見として提出している。

 さらに、与党自民党では、「郵政民営化推進に関する検証・検討PT」が発足し、平成21年3月13日に報告書が公表された。日本郵政グループにおいて対応・検討が必要なものとして、三事業会社からの委託手数料の透明性の確保、簡易郵便局の一時閉鎖、送金・決済サービスの手数料の引き上げ、郵便局長による小包の集荷の制限等現行法での修正・改善事項が指摘され、政府において検討が必要なものとして、限度額の撤廃、新規業務などが挙げられている。

 一方、民主党と国民新党は郵政民営化見直しについて、経営形態を含む郵政事業を抜本的に見直しすることで平成20年9月16日に合意した。

 今日の各種サービスダウンに見られる弊害は、分社化した制度設計に問題があると認識し、4分社化を見直し、郵便のみならず金融にもユニバーサルサービスを義務付け、あまねく公平に簡便な方法で利用者に三事業サービスを提供できる内容になっている。

 今期は、会員のニーズに応え郵政民営・分社化後の現場の状況を局長の皆様方にご協力いただき、インタビューや座談会を開催し、検証することができた。

 各種講演会について、さまざまな要請に基づき講師派遣等行った。

 地方自治と郵政事業というテーマで長野県知事にご協力いただき、鼎談を企画して問題点と今後の課題を取材を通して紹介することができた。このような郵政事業を取り巻く状況の中、会員のニーズに応えるべく、機関誌『逓信 耀』の誌面をより一層充実させるため、毎月編集会議を開催し、焦点を明確にして全国各地に取材を行った。

 編集方針については、総務省の施策を中心に日本郵政グループ各社の経営戦略を紹介。さらに公益性と企業性が求められる郵政事業について、国会の先生方、衆・参総務委員会、与野党の郵政関係部会等の議論を中心とした国会情報、有識者の先生方による郵政民営化のさまざまな角度での検証を行い、その問題点と課題を浮き彫りにしてきた。年間を通じ、地域社会に貢献する郵便局の実像について現地取材を通して掲載することができた。

機関誌 逓信「耀」(掲載内容) 毎月1日発行
郵政民営化を検証する!
4月号 衆議院議員 福田あきお先生に聞く!
偽りの郵政民営化を検証する 民営化の趣旨に反する多分割
6月号 衆議院議員 山口俊一先生に聞く!
いよいよ立ち上げた議員連盟「郵政事業研究会」制度設計の改善にもメスを
8月号 前衆議院議員 左藤章先生に聞く!
郵政民営化を徹底検証 取り戻したい「公」の精神
9月号 前衆議院議員 田中英夫先生に聞く!
分社化、全株売却の制度設計に疑義 郵便局は地域公共性に重視を
10月号 参議院議員 自見庄三郎先生に聞く!
郵政民営化の抜本見直し―国家、国民の安心、安全を守るために
シリーズ 政策を問う!
11月号 第1回 衆議院議員 古川禎久先生に聞く
郵政民営・分社化の結果を検証せよ 国民のためになったのか
12月号 第2回 参議院議員 亀井亜紀子先生に聞く
郵政民営化は政権交代で抜本見直しへ
1月号 第3回 衆議院議員 原口一博先生に聞く
国民の権利を侵害する民営・分社化を抜本的に見直す
2月号 第4回 前衆議院議員 津島恭一先生に聞く
守るべきは三事業一体経営 利用者無視、地方無視の民営化法を徹底見直し
3月号 第5回 衆議院議員 亀井久興先生に聞く
政権交代により郵政民営化の抜本見直し
政治・経済分野

政治評論家  森田 実

9月号 秋の臨時国会の焦点と今後の政治情勢 (上)
10月号 秋の臨時国会の焦点と今後の政治情勢 (下)
1月号 平成21年の政局を占う (上)
2月号 平成21年の政局を占う (下)
鼎談

長野県知事 村井 仁

信越地方郵便局長会会長(中土郵便局長) 太田武彦

東洋大学経営学部教授 経済学博士 石井晴夫

11月号(上) 地方自治と郵政事業
12月号(下) 郵政民営化は、地方行政に何をもたらしたか
座談会

東洋大学経営学部教授 経済学博士 石井晴夫

関西学院大学経済学部教授 経済学博士 野村宗訓

学習院大学経済学部講師 経営学博士 武井孝介

日本総合研究所創発戦略センター主任研究員 石田直美

4月号(下) 民営会社の企業行動はいかにあるべきか

埼玉西部地区会会長 富士見鶴瀬東郵便局長 大澤 誠

千葉東南地区会副会長 山田郵便局長 長谷川英晴

埼玉東部地区会副会長 南越谷郵便局長 勝又壽久

神奈川西北地区会部会長 座間駅前郵便局長 佐藤正之

埼玉中部地区会 上尾浅間台郵便局長 横田義孝

5月号(上) 現場第一線の郵便局長に聞く!
6月号(下) 検証―郵政民営・分社化がもたらしたもの
対談
6月号(上) 日本人が自信と誇りを取り戻すために
「国家の品格」の著者 お茶の水女子大学理学部教授 藤原正彦・
前衆議院議員・拓殖大学客員教授 城内 実
7月号(下) 国柄・美しい自然は心の支え 21世紀が希求するもの
「国家の品格」の著者 お茶の水女子大学理学部教授 藤原正彦・
前衆議院議員・拓殖大学客員教授 城内 実
9月号(上) 全特の更なる組織強化・発展を希う
前全国郵便局長会会長 中川 茂・東洋大学経営学部教授 石井晴夫
10月号(下) 中間管理組織軽視は時代に逆行
前全国郵便局長会会長 中川 茂・東洋大学経営学部教授 石井晴夫
郵政民営・分社化後のユニバーサルサービスの法的枠組みとその考え方(Ⅰ)~(Ⅲ)
1月号
2月号
3月号
東洋大学経営学部教授 経済学博士 石井晴夫
インタビュー
5月号(上) 全国郵便局長会副会長 昭島中神郵便局長 浦野 修氏に聞く!
「郵便局活力向上宣言」―その背景と今後の課題について
6月号(下) 全国郵便局長会会長 昭島中神郵便局長 浦野 修氏に聞く!
「郵政政策研究会」発足の背景と今後について
3月号 全特・郵政政策研究会 三枝和洋専務理事に聞く!
民営化見直し実現へ「組織力」「団結力・行動力」を発揮
いま必要な歴史認識と民営化の問題(17)~(27)
4月号
5月号
6月号
8月号
9月号
10月号
11月号
12月号
1月号
2月号
3月号
日本宗教文化史学会理事長  小林正義
霞が関からのレポート(50)~(61)

産経新聞経済部記者 福島 徳

郵政事業を巡る総務省、日本郵政株式会社、国会等の動向を分析し、タイムリーに紹介することができた

4月号 ゆうちょ銀行に見るグループ経営の脆さ
5月号 改善に向けて一歩前進の郵便局活力向上宣言
6月号 民営化見直しに向けて注目される新生・全特
7月号 決算からも明白な三事業一体経営の必要性
8月号 今後の三者協議の動向を見据えつつ、選挙支援等については慎重な対応が求められる
9月号 民営化見直しに向け、改めて認識すべきこと
10月号 一定の評価に値する国民新党と民主党の見直し合意
11月号 活発化する各党の郵政民営化見直し論議
12月号 総選挙先送りは、態勢強化の好機に
1月号 郵政民営化見直し「元年」に
2月号 郵政事業見直しを国民的うねりに
3月号 「かんぽの宿」疑惑で空けられたパンドラの箱
人生百年時代 ライフプランを立てよう(1)~(3)
7月号
8月号
11月号
ファイナンシャルプランナー 社会保険労務士 高伊 茂
小泉りゅうじ世相を語る!(1)~(6)

前衆議院議員 小泉龍司

5月号 政治家としてスタートした地点
6月号 〔ワーキングプアの問題〕と〔後期高齢者医療制度〕の本当の怖さ
7月号 医療制度改革について
8月号 市場の「制御不能」が生み出した現代資本主義・負の連鎖
9月号 若者の雇用の惨状―その改善策こそが優先課題
10月号 何のために戦うか
21世紀の商品開発とサービス(1)~(6)

発明プロデュース協会会長 木村勝己

4月号 ビジョンや目標を明確に描く
5月号 アニメがもたらした商品開発の夢
7月号 強い思いと行動のもたらす成果
8月号 鋭い観察力や洞察力の成せる技
9月号 儲からない経済構造への新展望
11月号 未知の市場空間を開拓する戦略
世界の郵便局を展望する(30)~(40)

ポスタルレポーター 星野興爾

4月号 続・激動する欧州の郵便市場
5月号 最低賃金制をめぐる対立の構図ドイツポスト・労組VS競争会社
6月号 ドイツポストが米国市場から撤退
7月号 ドイツポストが金融部門から撤退
8月号 郵貯の伝統を基盤にした戦略を展開 ポストイタリアーネの業績に注目
9月号 ポストイタリアーネのIT戦略
10月号 ドナウ三都の郵便局 オーストリー・ウイーン編(上)
11月号 ドナウ三都の郵便局 オーストリー・ウイーン編(下)
12月号 ロイヤルメールが轍鮒の急 歯止めのかからない窓口閉鎖
1月号 金融・経済危機で民営化の流れが逆転
2月号 欧州で郵政民営化の流れが逆転
格差社会の実態を検証する(1)~(12)

ジャーナリスト 東谷 暁

4月号 -非正規雇用の拡大は日本を滅ぼす
5月号 -構造改革が経済一流から転落させた
6月号 -プライムとサブプライムの社会的距離
7月号 -急激に広がる日本の健康格差
8月号 -「リベラル」に回帰するアメリカ
9月号 -原油と食糧の価格高騰はなぜ生じたか
10月号 -移民受けいれは格差拡大政策
11月号 -ノーベル賞受賞者クルーグマンの貿易論
12月号 -オバマ新大統領とアメリカの格差
1月号 -年金改革問題を論じるための条件
2月号 -本気で考えるワークシェアリング
3月号 -かんぽの宿売却が炙り出す民営化の実態
身近な防災講座(27)~(34)

防災士研修センター代表取締役 橋本 茂

4月号 危機管理の四段階
5月号 危機管理の第二段階
8月号 危機管理の第三段階
9月号 危機管理の第四段階
12月号 個室ビデオ店火災の悲劇
1月号 大都市圏の直下地震
2月号 ケタはずれの脅威?パンデミック
全国の郵便局を取材

地域に貢献する郵便局ネットワークの活用として、全国でさまざまに活躍されている郵便局を紹介し、郵政事業をPRすることができた。

7月号 広島県 広島幟町中特ビル内郵便局
8月号 青森県 飯詰郵便局
10月号 石川県 金沢新堅町郵便局
12月号 香川県 香南郵便局
1月号 北海道 瀬棚郵便局
2月号 佐賀県 諸富郵便局
3月号 山梨県 中芦川郵便局

以上、総務省の補完的役割をすべく多方面に活動してきました。