一般社団法人 通信研究会
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今期は、前期に引き続き郵政三事業および電気通信、放送の分野におけるさまざまな施策・情報等について会員を通して広く国民に啓蒙していきたい。
21世紀に入り情報通信技術(ICT)の可能性は、社会・経済や生活・文化にますます大きな影響を与え、広がりを見せている。政府は、ICTを「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」安心、安全に利用して快適に暮らせるユビキタスネット社会の実現を目指して推進している。今後日本経済の発展を支える原動力の一つになるが、その一方で少子高齢化や環境問題などさまざまな課題も明らかになってきている。
日本郵政公社は、昨年10月1日に民営・分社化され、公社の機能・業務が持株会社となる日本郵政株式会社と4つの事業会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険に引き継がれた。
民営化された郵政各社の姿は、日本郵政株式会社の株式1/3超は政府が保有し続け、金融2社の株式は2017年10月までに完全売却されることが決まっている。しかしながら、郵便局会社や郵便事業会社は、特殊会社として設立され、その株式は2017年10月までの移行期間終了後も引き続き日本郵政株式会社が100%保有する。特殊会社というのは、政府が一定の政策目標を実現するために特別法により設立される特殊法人の一形態でさまざまな政策的関与の余地が残された広義の公企業である。これは郵便局に公共性の役務を担わせることが日本社会の維持発展には必要不可欠と判断したからである。民営・分社化された各事業会社は公の機関として培った安心・信頼を礎として経営の透明度を高めながら、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮し、さらに収益性の向上も同時に求められていく。なかでも郵便局会社は世界でも例を見ない、三事業会社から委託を受けて成り立つ、極めて委託先の思惑に左右される会社である。
今後、郵便局が全国津々浦々で地域に密着し、国民共有の生活インフラとしての役割を担うことが引き続きできるのか、三事業のユニバーサル・サービスの堅持・ネットワークの維持・国民の利便性の向上、働く職員の生きがい等国民に約束したことについて、あらためて民営化法の問題点・課題点等について検証する必要がある。
通信研究会としては、民営化された各事業会社が、地域社会に対して国民の期待に応えられ、さらに新しいビジネスモデルを早急に構築できるよう協力提案していきたい。都市部と地方部との格差是正を図るためにも、今後地域社会における郵便局の役割はますます増大していく。前期に引き続き郵便局ネットワーク及び地域社会の活性化を図るべく郵政事業の新たな役割を調査・研究してその成果を会員及び関係機関に開陳していきたい。
記
《今期の事業計画》
Ⅰ 機関誌 逓信「耀」の発行と編集方針について
○ 総務省の施策を中心に郵政事業・電気通信・放送分野の今後の課題
○ 日本郵政株式会社(各事業会社)の経営戦略
○ 郵便局における新しいビジネスモデルの提案
○ 郵政事業PRと郵便局長の取材を通して地域貢献施策の在り方や営業戦略を紹介
○ 与野党総務委員会所属の国会議員の先生方を中心に取材
○ 有識者の先生方から郵政事業全般、郵便局の役割、公共性・企業性等について検証
○ 国会情報―衆参総務委員会、各政党における郵政事業論議の紹介
○ 各国の郵政改革の現状と展望について
○ 身近な防災講座―震災等に関するタイムリーな情報を提供
○ 霞が関からのレポート
○ 21世紀型の商品開発とサービスについて
○ その他
Ⅱ 郵政事業フォーラム21の開催
会員皆様方の多様な要望に応えるべく、郵政事業のみならず、電気通信、放送分野等についても当面の諸問題を勉強する。
Ⅲ ホームページの充実について
最新の郵政関係情報を掲載し、会員向け郵政メールサービスの充実。
Ⅳ 調査・研究会の開催について
・新・郵政事業ビジネス・モデル調査研究委員会の開催
短期・中期的視点において、諸外国の郵政改革も参考にしながら、郵政事業全般を検証する。
・未来の郵便局の在り方に関する調査研究委員会の開催
現在、全国各地に遍く存在する郵便局及びそのネットワークは、利用者及び各地域のニーズに応えているが、今後一層の利活用が国家国民全体の大きな課題となっている。民営化された郵便局に必要なハード(局舎等)とソフト(提供サービス)に対してどのようなものが求められていくのか検証していきたい。
V 相談窓口の検討について
各種セミナー・講演会等の講師派遣、会員等のさまざまな要望、照会に対応するための「相談窓口」の設置について検討。
VI その他
・各種資料集等の作成
国会論議等を分かりやすく解説した資料集の作成
このように各種事業を通じて当社団の役割は、今後ますます増大し、そのためには正会員・賛助会員の拡大・増強を図り、活発な活動を展開していきたい。
このような活動から発生する会費収入をはじめとする諸収入を源泉として、さらに有意義な研究活動を続けていき、最後に社会に対する貢献度の高い社団に致す所存である。