一般社団法人 通信研究会
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第38期(自平成15年4月1日~至平成16年3月31日)の決算にあたり、当社団の事業概況についてご報告申し上げます。
近年、経済の先行きに明るさは見えたものの、わが国を取り巻く環境は依然厳しい状況にある。一部金融機関の不良債権処理が進み金融システムに安定感が出はじめ、民需中心の企業部門による景気回復も見られるが、その反面中央と地方の地域間格差が拡がりつつあるのが現状である。
市場主義・競争主義が中心となりつつある今日、企業の統廃合が後をたたず、不採算地域に対しては撤退してしまうという企業の論理が先行し、ますます都市と地方の格差が拡がる一方である。さらに市町村合併問題もあり、行政サービスが低下してしまうのではないかという不安が国民の中に出てきている。
政府は、電子政府・電子自治体の推進によりIT化に対応した業務改革の推進、行政情報の電子的提供等により国民の利便性、サービスの向上を心がけるものである。地方においては高齢者も多く、行政とのアクセスが良いとは言いきれず、IT機器になじめない人々も少なくないのが現状である。
このような現状の中、日本郵政公社が発足して2年目を迎えた。
経営体制の強化のための民間手法の執行役員制を導入したり、ITビジョン・IT中期計画を公表し、自治体との連携を深め、最先端のサービスの創造をめざすべく取り組んでいるところである。
政府は経済財政諮問会議の中で「郵政民営化」について本格的な議論を行っているが、4月の中間報告では郵政民営化に関する論点整理がなされた。
主に郵政事業の機能について民営化の意義、民営化のあり方、四つの機能(窓口ネットワーク・郵便・郵貯・簡保各事業)の目指すべき方向等について示されたが、組織・制度や国債管理政策、ユニバーサルサービス等をどう維持するかについての議論は深まっていない。
自民党では「郵政事業改革に関する特命委員会」が発足した。「平成19年4月に民営化するという政府の基本方針を踏まえ、日本郵政公社の経営改革の状況を見つつ、国民的議論を行い平成16年秋頃までに結論を得る」とした政権公約に対して党としての意見をとりまとめるべく、当面は各議員に郵政事業について知識を平準化したいとの目的から毎週一回勉強会を開催している。
そのような状況の中、機関誌逓信『耀』に対する期待も高まり、編集方針も総務省の施策を中心に、日本社会の近代化に大きく貢献した近代の英傑『前島 密』、日本郵政公社発足の意義と今後の展望と題して関係する国会議員の先生方に取材を通してメッセージを掲載した。また、「日本郵政公社に期待する」シリーズでは、公社化研究会委員、郵政行政審議会の委員の先生方よりさまざまなご意見を伺い掲載することができた。
シリーズ「深層」「『兜』からのレポート」は郵政事業を取り巻くさまざまな情報を産經新聞福島氏協力のもとタイムリーに掲載することができた。
日本郵政公社発足の意義と今後の展望
04月号 衆議院議員 林 幹雄先生 06月号 衆議院議員 平林鴻三先生 08月号 衆議院議員 斎藤斗志二先生 |
日本郵政公社に期待する 04月号 慶應義塾大学経済学部教授 池尾和人先生 05月号 東京国際大学経済学部教授 田尻嗣夫先生 09月号 帝京大学経済学部教授 下和田功先生 10月号 東京大学教授 井堀利宏先生 11月号 慶應義塾大学商学部教授 井手秀樹先生 12月号 横浜国立大学経営学部教授 米澤康博先生 01月号 成城大学経済学部教授 村本 孜先生 02月号 青山学院大学経営学部教授 三村優美子先生 03月号 東京大学法学部教授 岩原紳作先生 |
地域に貢献する郵便局ネットワークの活用として全国で活躍されている郵便局を取材を通して紹介した。
(1)山梨県穂坂郵便局
(2)岐阜中央郵便局・岐阜県谷汲郵便局
(3)東京都江東牡丹郵便局
(4)静岡県袋井駅前郵便局
(5)愛知県南知多篠島郵便局
(6)熊本県坂本郵便局
(7)福井県遠敷郵便局
(8)新潟県越後上田郵便局
(9)岩手県島越郵便局
(10)北海道壮瞥郵便局
(11)島根県今福郵便局
(12)島根県大根島郵便局
等全国各地で郵政事業に携わる関係者から取材を行ない、幅広く郵政三事業をPRすることができた。
郵政事業研究室は、
(1)官業と民業の役割における官業(郵便局)の重要性について
(2)特集シリーズ
ITの進展によって、とかく文字を書くことが敬遠されがちの中、手紙には表現技術を高めたり、情緒性や記録性などかずかずのメリットがあり、その価値が見直されている。
前期に引き続き、手紙文化の振興と「手紙離れ」の防止などにお役立て頂くため『手紙のすすめ』をPRした。なお、「手紙のすすめ」を(財)日本青少年ペンフレンドクラブ協会に1,000部寄贈させていただいた。
郵政事業フォーラム21については平成11年に発足した。今期も会員および郵政関係者よりセミナー開催の要望が強く、下記の通り5回開催することができた。
第16回 平成15年4月11日(金) | |
場 所 | KKRホテル 11階 |
テーマ | 『日本郵政公社のガバナンス』 |
講 師 | 若杉敬明先生(東京大学大学院経済学研究科教授) |
第17回 平成15年4月21日(月) | |
場 所 | 霞ヶ関東海大学校友会館 |
テーマ | 『日本経済の現状と今後』 |
講 師 | 鶴田東洋彦先生(産經新聞東京本社経済部次長) |
第18回 平成15年6月25日(水) | |
場 所 | 霞ヶ関東海大学校友会館 |
テーマ | 『日本郵政公社のアクションプランについて』 |
講 師 | 高橋守和先生(日本郵政公社理事) |
第19回 平成15年10月1日(水) | |
場 所 | 霞ヶ関東海大学校友会館 |
テーマ | 『日本郵政公社の現状と今後の課題』 |
講 師 | 稲村公望先生(日本郵政公社常務理事) |
第20回 平成16年3月17日(月) | |
場 所 | 霞ヶ関東海大学校友会館 |
テーマ | 『時局講演会』 |
講 師 | 総務副大臣 山口俊一先生(衆議院議員) |
以上総務省の補完的役割をすべく多方面に活動して参りました。