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事業報告

平成14年度事業報告

 第37期(自平成14年4月1日~至平成15年3月31日)の決算にあたり、当社団の事業概況についてご報告申し上げます。

わが国を取り巻く環境は厳しさを増している。小泉内閣は「構造改革なくして景気回復なし」と国民に訴え政権を発足したが、遅々として進まない構造改革、景気回復に厳しい国民の目が向けられている。

特に経済政策をめぐっては与党内においてさまざまな意見が出ており、難しい舵取りを迫られている。

デフレ経済の中にあって度重なる金融機関の不祥事、先行きが見えない不良債権処理問題、急増した赤字国債発行による国の借金等世界各国からわが国に対して早急な景気回復が求められている。

近年企業の不祥事が多発し、国民の信頼を失うという不幸な状況が続いているが、信頼回復のために経営姿勢の改革が進められ、コンプライアンス経営が求められている。つまり、経営情報の開示と説明責任である。

市場主義・競争主義が中心となりつつある今日、企業の統廃合が後をたたず、不採算地域に対して撤退してしまうという企業の論理が先行し、都市と地方の格差が拡がる一方である。さらに市町村合併の問題もあり広域になって行政サービスが低下するのではないかという不安が国民の中に出てきた。地方においては高齢者が多く、行政とのアクセスが良いとは言いきれず、IT機器になじめない人々も少なくないのが現状である。

このような現状の中、郵政事業は先の第154通常国会において郵政4法案が成立し、『日本郵政公社』が発足する。中央省庁等改革基本法第33条第1項に規定する国営の新たな公社として、独立採算の下、信書及び小包の送達の役務、簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段並びに簡易に利用できる生命保険を提供する業務、当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことが求められている。

当研究会としては、会員及び郵政関係者よりセミナー開催の要望が強く、下記の通り『郵政事業フォーラム21』を開催した。また郵政公社法案が成立したことを受けて『郵政公社化セミナー』を①日本郵政公社の誕生までの経緯・仕組み・発足等 ②郵便事業への民間参入の検討の経緯-「信書便法」と「信書便法整備法」の概要と国会議論 ③日本郵政公社-財務と会計 ④日本の近代化と郵政事業-郵便の父前島密の人となりとリーダーシップ-等を4回にわたり開催した。大変有意義なセミナーであった。

機関誌逓信『耀』に対する期待が高まり、編集方針も総務省の施策を中心に近代の英傑『前島 密』、「もっと素敵に私の郵便局」、特集シリーズとして「日本郵政公社の意義と今後の展望」①~③と題して関係する国会議員の先生方に取材を通してメッセージを掲載した。また「日本郵政公社に期待する」シリーズ①~④では、公社化研究会委員の方々等によりさまざまなご意見を伺い掲載することができた。「深層」と題して公社化研究会・郵政三事業の在り方を考える懇談会・郵政公社設立会議等郵政事業を取り巻くさまざまな情報を整理して掲載することができた。また「地域に貢献する郵便局ネットワークの活用」として全国で活躍されている郵便局を取材を通して紹介した。

会員各位の関心のあるテーマを中心に編集ができた。
  郵政事業研究室は、(1)日本郵政公社法案の概要と国会議論 (2)郵政公社化等を巡る論点整理 (3)官業と民業の役割における官業の重要性について等郵政三事業の諸課題の論議を検証し掲載することができた。また日本の郵便制度のみならず日本社会の近代化に大きく貢献した「前島 密」の生涯を「近代の英傑『前島 密』-その生涯と足跡-」として連載した。「地域に貢献する郵便局ネットワークの活用」は、各郵政局管内で地域行政と一体となって活躍している郵便局を対象に取材を行った。①群馬県三原郵便局②山形県山寺郵便局③東京都足立椿郵便局④滋賀県朽木郵便局⑤長野県中土郵便局⑥富山県細入郵便局⑦高知県長沢郵便局⑧岩手県花巻郵便局・花巻温泉郵便局・矢沢郵便局⑨島根県横田郵便局⑩山口県菊川郵便局等全国各地で郵政事業に携わる関係者から取材を行い、幅広く郵政三事業をPRすることができた。

ITの進展によって、とかく文字を書くことが敬遠されがちの中、手紙には表現技術を高めたり、情緒性や記録性などかずかずのメリットがあり、その価値が見直されている。

前期に引き続き、手紙文化の振興と「手紙離れ」の防止などにお役立て頂くため『手紙のすすめ』を発行した。全国から問い合わせや申込があり、好評であった。尚、「手紙のすすめ」を(財)日本青少年ペンフレンドクラブ協会に1,200部寄贈させていただいた。


郵政事業フォーラム21については、郵政事業庁から公社化へ移行する郵政行政(郵便事業・貯金事業・簡易保険事業)について総論から各論へと勉強し、電気通信・放送行政についても関連している当面の諸問題について勉強することを目的として平成11年度発足した。

第13回 平成14年5月20日(月)
場 所 KKRホテル 11階
テーマ 『日本郵政公社について』
講 師 山口俊一先生 衆議院議員(衆議院財務金融委員会筆頭理事)
第14回 平成14年9月25日(水)
場 所 霞ヶ関東海大学校友会館
テーマ 『時局講演会』
講 師 麻生太郎先生 衆議院議員 (自由民主党政務調査会長)
第15回 平成15年1月20日(月)
場 所 霞ヶ関東海大学校友会館
テーマ 『放送デジタル化の課題と展望』
講 師 福岡 徹先生 (総務省情報通信政策局放送政策課長)

郵政公社化セミナー開催
第1回 平成14年11月15日(金)
場 所 KKR HOTEL TOKYO
テーマ 『日本郵政公社化に関する概要』
講 師 参議院第一特別調査室 室長 渋川文隆先生
第2回 平成14年12月 6日(金)
場 所 KKR HOTEL TOKYO
テーマ 『郵便事業への民間参入の検討の経緯』
講 師 参議院第一特別調査室 室長 渋川文隆先生
第3回 平成15年 2月14日(金)
場 所 KKR HOTEL TOKYO
テーマ 『日本郵政公社 財務と会計』
講 師 公認会計士 浅野 浩事務所所長 浅野浩先生
第4回 平成15年 3月14日(金)
場 所 KKR HOTEL TOKYO
テーマ 『日本の近代化と郵政事業』
-郵便の父前島密の人となりとリーダーシップ-
講 師 日本宗教文化史学会理事長 小林正義先生

以上総務省の補完的役割をすべく多方面に活動して参りました。